2001/09/25 

読者相談室から/水中考古学で解明を/(9月14日―20日)



 【与那国島の海底構造物】
 ◇琉大の木村政昭教授が県庁を訪ね、与那国島の海底構造物の調査結果を県に報告し「海底の構造物は約一万年前の陸地時代に、人為的に加工されたものである」との見解を明らかにした記事(9月9日付の朝刊)について、読者から次のような意見が寄せられた。「沖縄には埋蔵文化財センターがあるが、県内外から注目されている与那国の海底遺跡を今後、調査する予定があるのかどうか。もし調査の予定があればいつから実施するのか。もし調査をしないというなら、なぜなのか、説明してもらいたい。また、この点について沖縄の考古学者の見解もうかがってみたい」。県教育庁の文化課に見解を求めたところ次のようにコメントした。「現時点では(海底の構造物が)遺跡かどうかまだ分からない。人間が実際に使っていたとみられる道具や焼き物が発見されていない。もし、こうした生活の痕跡が見つかれば対応していきたいが今のところ何も出土していない。周辺にも生活の痕跡は認められないので遺跡とは判断していない」海底遺跡を研究の対象とする学問は「水中考古学」といわれるが、当初は沈没船の「宝探し」のようにも見られた時期があったようだ。県内の海底遺跡としては、石垣市の名蔵湾沖合いにあるシタダル遺跡がよく知られている。一九八五年の水中考古学調査で、海中の石垣を発見。中国の明代の交易港だったのではないか―と推測されている。これまでに、海中から約三百点の青磁や白磁が見つかっている。水中遺跡は与那国の「海底構造物」からも想起されるようにロマンがあって子供たちの夢をはぐくんでくれる。読者が県に調査を求めるのも、夢やロマンを解明してくれる水中考古学への期待なのかもしれない


海底遺跡の保護ページ


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